Hail Hail

 

実力差もその時の調子も関係なくなるダービーマッチの不思議

 


はじめに断っておきますが、今回取り上げる”ダービーマッチ”は、スポンサーやマスコミが盛り上げる目的で雨後の筍のような後付けのダービーマッチのことを指しているのではありません。
実際、イングランドやスコットランドでもこういう”雨後の筍ダービー”が、結構前からいろいろ出来ています。
スコットランドも、レンジャーズに対する、”ネタ”としては使ってますが、セルティックやレンジャーズと同じグラスゴーのパーティックシスルは、クラブ規模、ファンベース、予算規模、実績からして全く違うので、ファン自体も”ダービー”と言いながらも、ダービー扱い、はしていません。
さらに、1980年代のアバディーンとダンディーユナイテッドが、オールドファームを追いこしてリーグ優勝、ヨーロッパで活躍した時に「ニューファーム」と呼ばれましたが、今やその影もすっかり消え去りたまーに言われる程度になっています。(ダンディーユナイテッドは今2部だし)

イングランドも、地域内でダービーマッチが多いので、ロンドンダービーや、ミッドランド、ヨークシャーダービーがそれこそ幾つもありますが、あえて、ビッグマッチと呼ばれるダービーマッチ(それでも数多くありますが)は、その勝敗でリーグの流れが左右する、もしくは町の雰囲気が一変するほどの破壊力と影響力を持つダービーマッチ、について取り上げます。

シーズンのハイライトがダービーマッチである。

 

人生初!
興奮と絶叫のオールドファームダービーの模様はこちら
プラチナチケットを求めて(UK3 vol.4)

決戦は日曜日 (UK3 vol.5)

緑と白に染まったグラスゴー(UK3 vol.6)
これは、一番の重要なファクター。リーグの中のほんの1試合じゃなくダービーのために1シーズンがあるぐらいの勢いが欲しいところです。
試合の1か月前から徐々に気になりだし、ホーム、アウェーともにチケット争奪戦が始まるので、意識はすっかりダービーに向かっていきます。パブで話すこともダービーの話題になり、SNSでも過去の相手チームの失態や自分のチームの大勝の動画をこれでもか、と言うぐらい流して、多くのファンが反応します。

かつて(今でも)マラドーナのビデオがテレビで嫌という程流されても、必ずアルゼンチンではみんなが立ち止まって、飽きるぐらい見ているシーンも見ている、というところを見てきた、という人の話を読みましたが、まさにダービー前はそんな感じです。

スコットランドではリーグのチーム数が少ないので、年4回以上行われることが多いですが、(今シーズンすでに2回対戦)、なんどやっても全く飽きることはありません。

極端な話、イングランドでも他のヨーロッパの国でもそうですが、ダービーマッチで飽きることがあるとしたら、それはダービーマッチと呼べるものではないと言っても過言ではない気がします。(まあなかなかないと思いますが)

 

相手チームの情報は全て把握、憎悪がひっくり返ってもはや愛情?!

 

普段はいがみ合ってる両チームのサポーターも相手のことが気になって仕方がない。のが本音。

セルティックファンは、レンジャーズの順位、成績、選手情報、けが人情報、誰が何点取っているか、新聞やマスコミのインタビューでセルティックのことをなんて言っているか、つぶさに情報収集しています。

まさにそれは愛する自チームに対する情報収集と同じレベル!

スパーズのアーセナルに対する嫉妬や、サンダーランドのファンがニューカッスルに持つ憎悪も同じようではないでしょうか。
たとえ今は所属リーグが違ってもニューカッスルのファンはサンダーランドのプレミアリーグ低迷を笑い、サンダーランドのファンが、ニューカッスルの降格を1年間ネタにしながらも昇格最右翼で勝利を続けることに苦虫を噛み続けるかのように。

常に相手チームの動向が気になる。相手が別チームに勝って機嫌がいいだけでも、何か腹の虫が治らない。たとえ相手チームがヨーロッパで活躍しても一切認めないし、応援なんてもってのほか。

いろんな定義があるのかもしれませんが、そのぐらい本気で応援して、本気で嫌い合ってる方が、「楽しい」からやってるのです。

後付けで作ったダービーでもメディアも巻き込んでここまで極端にやらないと、単なるスポンサー集めのタイトルづけでしか無くなってしまいます。

そして何よりダービーマッチでは今までのことは全部チャラ、どっちに転ぶかは始まらないとわからない

 

前回、前々回と勝ちを収めているものの。。。試合前はナーバスです。

勝ち点差15をひっくり返した!震災支援感謝で急遽渡英した雨の決戦の旅行記はこちら

予想外連発の出発日(UK8 vol.1)

綱渡りのスタジアム移動と6万分の1の出会い(UK8 vo.2)

ありがとう!セルティック🍀(UK8 vo.3)

これが ”パラダイス” (UK8 vol.4)

 

どんなに実力差があろうとも、チームの調子が良くても悪くても、試合にかける意気込みは選手も監督もファンも全く別物扱いになります。過去の対戦成績やホーム・アウェーの違いさえも超越するのがダービーマッチです。
アウェーでも攻めようとしない、実力差があって引かざるをえない相手であっても前にでて戦わないチームには容赦ない叱咤が飛びます。

アウェーファンにとっては引き分けは勝ちに等しいですが、ホームファンにとっては屈辱以外の何物でもない。
双方引き分けで良かったね、となるのはほとんどレアケースと言ってもいいでしょう。

スコットランド、グラスゴーの場合はさらに街中の雰囲気が一変します。それはまさに勝ったチームの占領状態。
負けたチームは、肩をすぼめて相手チームのファンに絡まれないようにそそくさと自分たちのエリアに引っ込みます。

まさに両チームのプライドをかけた街を二分する戦いなのです。

負けたチームのファンは勝ったチームのファンから次に負けるまで「ずっと」前の試合の勝利のことを言われ続けます。勝ったチームは、次の試合まで「ずっと」前の試合のハイライトを思い出しながら美味い酒を飲み続けます。
2004年、2009年、そして2011年と3度オールドファームを観戦していますが、試合後のグラスゴーはまさに「緑」一色!街中を歩くレンジャーズファンはほとんど見かけず、見かけてもセルティックファンには目もくれずそそくさと歩き去っていきます。

それに対してセルティックファンは、街中でスカーフ姿で堂々と歩くので緑と白で溢れかえり、パブで大いに飲み、歌い勝利を謳歌するのです。

たとえ相手が設立4年の昇格クラブであっても
(ここはお約束)、

ジョーイバートンという今シーズンの補強の目玉が、チームメートと喧嘩して嫌になってイングランドへ帰っても(今、バーンリーに戻ってます)

今シーズンのリーグ戦で3点以上とったことが1回しかない、リーグ4位の”貧弱な”攻撃陣であっても、
(セルティックは倍近い得点を取ってます)

双方のファンは、いやセルティックファンは期待と不安を混じりながら12月31日の敵地アイブロックスへ向かいます。。。ヘルメットを持って!

そして僕もアイブロックスへ向かいます!!(これぞ”セルティックライフ”)

現地で有名人になっちゃった!、アイブロックスでの旅行記はこちら

リベンジの朝の不安(UK7 vol.4)

アウェーでのプチセレブ体験(UK7  vol.5)


至福をもたらすスーパーボレー(UK7 vol.6)

新たな伝説を作った男(UK7 vol.7)

これは2009年の12月に行われたアイブロックスでの試合。