Hail Hail
2008年12月27日(土) その4
セルティックファンを乗せたバスは、渋滞をノロノロ進みながら一路シティセンターへ。
車内は意外にも静かで勝利の余韻に浸っている様子。
自分たちもさすがに騒ぎ過ぎたので、ちょっと休憩。
15時30分近くにシティセンターに到着するが行きに乗ったジョージスクエアではなく、クイーンストリート駅近くでバスは停車する。
ついたところは、「FAILTE」(フォルシェ、またはフォルチェ)というアイリッシュパブだった。
自分はこの後の予定を特に決めてないので、そのままの流れで他のファンと一緒に中に入ろう、としたがなんと入場過多で制限がかかってしばらく入れず。
店の中はセルティックファンでごった返している。
しばらく外で待たされてようやく入場、しかし入り口近くは大混雑で、ビールを買いにくのも大変。しばらくソファに腰掛けていろんな人としゃべったりしていたら誰ともなくビールが運ばれてきてみんなで乾杯!して、飲みながら話す。
ただ大勢の声と店内の音楽で何を言っているのか全然聞こえない。
まーでも楽しいからいいや〜と、何言われても頷いて笑って過ごす。
その中であるファンから頭にしていている東京CSC鉢巻をくれないかとお願いされる。まだ何本かあったので取り出して一本あげようとすると何とあちこちから俺も俺も、となり、半ば強奪に近い感じで何人かに奪い取られてしまった。
まあ、使ってくれればいいんだけど、ちょっと気分を害した。
1時間半ほど飲んでいるとかもちゃんが、時間を気になりだす。どうやら明日の予定のために移動したいらしい。
自分は明日はお昼のニューカッスルだったが、かもちゃんはリバプールでエバートン、しかし、明日は日曜日で、グラスゴーを朝に出てお昼前にリバプールに着く列車がないので、今日中に移動しておきたいらしい。
えー、こんな楽しいのにぃ? いいじゃん、今日はこのまま飲んで明日はニューカッスル行こうよ、と引き止めるものの予定は変えたくないらしい。まあ自分も酔ってるし疲れもあるので強くは引き止めず、じゃあわかったよ。
俺はここで楽しんでるから行ってきな。と伝え、かもちゃんはホステルに荷物を置いたまま移動することに。
自分はその後もフォルシェで飲んでいたのだが、さすがに酔いと疲れで7時ぐらいには店を出ることに、朝からほとんど何も食べてないので、ファーストフードで食事をして再度ギャロウゲートに向かい飲み直そうと思ったが、明日のこともあったので、早めにホステルに戻って寝てしまった。
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ここで!今回は旅行記の主役がかもちゃんにスイッチするのである。
本人から聞いた話なのでディテールまでは書けないが、聞いた内容をかいつまんで、ちょっと盛ってお伝えする。
かもちゃんはフォルシェで自分と別れた後、ホステルで着替えてからタクシーでグラスゴーインターナショナル空港へ移動し、翌日のエバートン戦へ備えようと別の場所へ移動を予定していた。
かもちゃんが向かったその場所はダイレクトにリバプール、ではなく、よりにもよって「ベルファスト!」だったのである。
北アイルランドの首都ベルファスト、かつてはイギリス軍、地元のプロテスタント武装組織、そしてアイルランド共和軍のIRAが三つ巴となって1970年代を最高潮に武力闘争、テロが行われた街でもある。現在、街は平和で表立って武力闘争は行われてはいないが、カソリック住民とプロテスタント住民の居住区は厚い防護壁で遮られ、シティセンター内は一切のフットボールカラー、宗教的主張(セクタリニズム)を禁じられている街である。その厳しさはグラスゴー以上。
特にフットボールカラーについては、レンジャーズの青よりもセルティックの緑の方が、より身につけていると危険と言われ、地元のセルティックファンも公共の場所では一切身につけないぐらいである。
そして、この日はアイブロックスでのオールドファームの日、ベルファストにも非常に大勢のレンジャーズファンが住んでおり、彼らは試合のために大挙してグラスゴーへやってきてたのであった。
そんな中、かもちゃんは、ホステルで着替えたのだが、唯一最大のミスを犯してベルファストに移動してしまった。
それは、「グランドコート」そう、この日の朝、アーガイルストリートのセルティックストアで購入したばかりのグランドコートを着たままベルファストに旅立ってしまったのである。
グラスゴー空港で飛行機に搭乗したかもちゃんを待ち受けていたのは、そう、乗客の大半を占める、ホームでセルティックに負けて非常に不機嫌なベルファストのレンジャーズファン!Σ(゚д゚lll)
搭乗してきたかもちゃんが着ているグランドコートのセルティックのクレストを見てほぼ全員激昂!!想像を絶するありとあらゆる罵詈雑言と差別用語、非難、文句、を浴びせかけられたらしく、まさに針のむしろ状態。(>人<;)
唯一運が良かったのは、飛行時間が30分と短かったことと、機内にセルティックファンがいてかもちゃんを助けてくれ、胸のクレストは絶対外で見せるな!空港に着いたらすぐにタクシーでホテルに行け、とアドバイスしてくれたこと。
さすがに言葉の暴力はやりたい放題でも機内や空港内では手が出せないので、セキュリティが保障された空港内で、移動してしまえば被害は受けないだろうということだった。
命からがらタクシーに飛び乗りホテルへまっしぐら。その夜はどこへも出歩かず、翌日もできるだけクレストを隠してリバプールへの飛行機に搭乗してベルファストから脱出できたそうだ。
おそらくこんな体験をした日本人のフットボールファンもそうは多くないだろう。何よりも無傷で無事でよかった。
さすがにこんな経験はいくら後でネタになると言ってもやはり勘弁してほしい。
次の日へ続く。