Hail Hail
2011年12月31日(土) その1
6時半起床。
テレビでBBC1を見ながら準備。
昨日深夜洗濯した下着はまあまあ乾いていてラッキー。
7時に朝食に行ったら、ホテルのおばちゃんがいたので声をかけるとびっくりされ、今日は朝食は7時半からよ。
と言われたので一旦部屋に戻る。
7時半に改めて朝食。
8時にチェックアウトして出発。
ライムストリート駅に到着すると、8時7分発のロンドンユーストン行きがあるので、すぐさまとびのる。
こっちは、時間になると発車のベルも無く扉が閉まることがよくあるので、乗車できる時に乗車しないと危険。
車内を移動しファーストクラスへ。
電源がついてるので充電しながら日記を書いたりWifi接続してSNSのチェックをして過ごす。
フットボール旅行をするにもこの10年ですっかり便利になった。事前に地図を見てもここは町なのか空き地なのかわからないし、現在位置も把握できない。しかも場所を聞いても伝わらないし教えてくれないこともあった。
それが、何かあればすぐにググって調べられるし、GPSで場所の確認もできる。さらに予約もその場で取れると当たり前のように聞こえるが、隔世の感がある。
10時19分にロンドンユーストン到着。
Tubeの駅に行くとさすがロンドン各国の人々で溢れかえってる。券売機でオイスターカード(日本のスイカみたいな物)を買おうとするがクレカのみなので、窓口に並んで購入。デポジットは£20。
ノーザンラインでロンドンブリッジまで行き、そこから地上駅でブリットレールで悪名高き「サウスバーモンジー」駅へ!
今日はロンドンでロンドンダービーを2試合観戦予定、その1試合目が、泣く子も黙るミルウォールと同じ南ロンドンのクリスタルパレスの試合。
さらに夕方にはロンドンオリンピックメインスタジアム近くのレイトンで、レイトンオリエントとチャールトンの試合を観戦するのだが、ロンドンブリッジに着くと早くも警官隊がお出迎え。
この時から8年前の2004年、自分史上でも有数の思い出となったミルウォール(ファン)との邂逅はこちら。
Tubeからの連絡口、地上からの出入り口、改札近く、プラットホームと、ものすごい数の警官があちらこちらに配備している。
これを見るだけでもかなりの緊張感。
パスで改札を通りローカル線に乗車。中はミルウォールファンがたくさん乗車している。
彼らの多くはクラブのカラーを身につけていない。”カジュアルズ” と呼ばれラコステやアディダス、ストーンアイランドのカジュアルブランドを身につけている。セキュリティが厳しいので列車内では暴力行為に及ぶことはあまり多くはないが、アウェーファンのいるパブや駅でも到着を待ち受けて集団で暴行を加える可能性が高い。
しかも、今日は近隣クリスタルパレスとのダービー、「サウス は俺たちのものだ」というチャントを列車内で繰り返し息巻いている中学生ぐらいのファンがいる。ここでは、一番勢いのある彼らぐらいが一番向こう見ずで厄介なので、普通の乗客のように振る舞い、フットボールとは関係ないように知らんふりを決め込む。
特に最近では人種差別も盛んに話題になっているので、こういうファンがいる列車にあまり同乗するのは得策ではないかも。クラブのグッズを身につけている普通のファンと一緒に行動するのが無難だと思う。
ロンドンブリッジを発車して2駅でサウスバーモンジー到着。
ミルウォールファンのほとんどがここで降りていくので、車内からだいたい降りていったところで自分も列車から降りる。
サウスバーモンジー名物、監視カメラ付き、柵に囲われた専用通路を通り、スタジアム近くへ。
ここまでくれば一般のファンも多いので安心。彼らについていき高架下を通ってスタジアムへ。
まずはチケットオフィスで当日券を購入、ロンドンダービーだけど余裕で当日券ありで£25。買った直後にチケット持っているか?とファンに声をかけられたが、「Yes」と答えた。もしかして余らせてたのかな。
クラブショップでプログラムとスカーフを購入。売店でバーガーを買おうかと思ったけど、行列ができていたので諦め早めにスタジアムの中へ入る。
スタンド裏のコンコースでビールとパイを購入していると、売店のアフリカ系のオネーチャンに話しかけられる。「Are you MillWall fan?」と。
No とも言えないのでYes と答えると、「マジ?」と突っ込まれたので、「マジ」と返す。
さらに「どこから来たの?」と聞かれたので「日本」と答えると、なんだか嬉しかったようで、喜んでサムアップしてきた。
「みんなアーセナルやチェルシーを応援するのに、この日本人はミルウォールが好きなんだって!」みたいなことを売店の他のスタッフに大声で言っていた。
で、別れ際に他の店員からも「Enjoy the Match」と言われて、ありがとう、と答えて別れる。
いきなり話しかけられてびっくりしたけど、なんだか喜んでくれたみたいで良かった。
なぜだか悪名高きミルウォール。事前に友人たちからは散々注意しろとかそんなとこ行くなんてお前はクレイジーだ、と言われたが、8年前もそうだが今回もちょっとしたいい出会いがあった。
ビールとパイを平らげた後、スタンドへ入場。アウェーゴール裏とは反対側のゴール裏でファミリースタンドなのが救い。小さい子供を連れた家族連れも多い。
ミルウォールのスタジアム「ザ デン」の片方のゴール裏1階席はいつも無観客で試合を行っているのだが、今日その理由がわかった。
2階席にアウェーのファンを入場させ、ホームのファンとの距離を置くためにと、アウェーのファンがピッチになだれ込まないようにしているのだ。
ミルウォールはアウェーファンだけじゃなくホームのファンも気をつけないといけないからね。納得。
さすがにダービー、キックオフ前にスタジアムは8割がた埋まっている。
遠くに見えるアウェーゴールうら近くではお互いのファン同士が早くも啀み合い罵り合っている。
スタジアムの雰囲気はヒートアップして激しいヤジがそこらじゅうから飛び、ここはファミリースタンドじゃないの?と思うぐらい、放送禁止用語とジェスチャーが飛び交っている。
その一方で、試合内容は今ひとつお粗末、降格圏内にいるミルウォール、とプレイオフを目指すクリスタルパレスの実力差は如何ともしがたく、前半から主導権を握られイースターに決められ0-1。
ミルウォールも反撃を試みるも形はなかなか作れないし、パレスは引き気味で失点を防ぎつつすきあらば、というアウェーらしい戦いぶりで、見所は少なめ。
それよりスタジアムの周りのファンを見ている方が遥かに面白かった。映画「Football Factory」で連発している放送禁止用語は、実際スタジアムでも普通に使われているところが、あの映画のリアリティさを物語っている。
試合はそのまま0-1でパレスの勝利。試合終了前にスタジアムを出て駅へと向かう。
試合よりも周りのファンを観察している方が面白くてそっちのけでファンを見ていたが、ミルウォールファンはロンドンの他のチームのファンとやはり顔つきが違う。なんとも言えない無骨な顔をしたファンが多い。ロンドンの中でも地域によってくるファン層が全然違うので、こんなところにもロンドンのワーキングクラスの実態というか生態系?をちょこっと垣間見た感じがした。
しかも、地域に対する忠誠心は半端なく周りがどう思おうが、自分たちのコミュニティを最優先する。だから、「No one likes us we don’t care, We are Millwall super Millwall we are Millwall from the Den」というチャントもミルウォールの地域とコミュニティに対する帰属意識の強さならではなのだろう。
先ほどのショップの店員のオネーチャンも、8年前であったミルウォールファンも、憎悪を持つとそれ以上の憎悪で、愛情を持つとそれ以上の愛情で返してくれる。それだけ彼らの想いが強いのだろうと感じた。
だから、8年前のような思い出も作れたのかな、と再びミルウォールを訪れ、今回試合を観戦したことで少し理解ができた気がした。
その2へ続く。
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