Hail Hail
3月15日(月) その3
緊張と感動が入り乱れたパブでのひと時が終わり、今度は スキンヘッド強面体重100kgのドライバーが運転するタクシーで強制連行、いやスタジアムまで送ってもらうことに。
発車後しばらくはお互い無言、しかしこのなんとも張り詰めた空気が、逆に怖いので、恐る恐る話しかけることに。。。
なんとこのタクシー、プライベート丸出しで、フロントガラスにはミルウォールのクレスト(エンブレム)のステッカー、リアガラスには「No One Likes Us We Don’t Care」のミルウォールらしさ全開のステッカーと、他のフットボールクラブのファンは「絶対に」乗れないしミルウォール仕様。
ここは確実で一番手っ取り早いことを聞くのがいいだろと判断し、「やっぱりあなたもミルウォールファンなんだね」と聞くと「この街はみんなミルウォールファンさ」となんともシブいお答え。
今回の自分の旅の経緯を話して、今日 The DENを見に来てあのパブにたどり着いたことを話す。
「お前はジャパンから来たフットボールファンなんだな」と理解してもらったようで、「Yes」と返事。
その後、パブでも出てきたリネカーの話(当時ジャパンといえばリネカーみたい)をしたり、ミルウォールの火曜日行われるFA CUPのリプレイの話をしたり、ドライバーの彼は、火曜日のリプレイにはいかないが、それよりも日曜日に大事な最大、最悪のライバル、ウェストハムとのリーグ戦でのダービー(この時両チームとも2部で同じリーグ)を見に行くと言っていた。
そんな話をしていると、運転中にも関わらず、助手席のダッシュボードを開けて何かごそごそ探し出す。
彼曰く、今日は月曜日でスタジアム併設のクラブショップが休みとのこと。
何か、自分にお土産を、と思って探してくれたらしい。
えーーー、マジか!!! めっちゃ感激!!!ヽ(゚∀゚)ノ
結局何も見つからなかったのだけどね。
10分ぐらいでスタジアムに到着。
外観は素晴らしいスタジアム、だが、さすがミルウォール、ところどころ鉄条網や有刺鉄線で侵入、脱出できないようにしている。
これだけセキュリティ厳しくしているスタジアムも見たことない。
スタジアム周りで何枚か写真を撮っていると、ドライバーの彼がスタジアムバックで写してくれるというのでお願いして撮ってもらう。
そのあと、何を思ったか、ちょっと一緒に来いと言い、スタジアムにあるクラブオフィスにつかつか入っていく。
そこでな・ん・と・
中にいた職員と交渉しスタジアムの中を見せてくれないか、と頼んでくれている!
スタジアムツアーはもう時間外だよ、と言われるのだが、日本から来たフットボールファンがわざわざスタジアムまで足を運んできたことを理解してれたからなのか、
特別スタジアムツアーをやってくれることに!!!
マジかーーーーーーー、ヽ(゚∀゚)ノ
職員一人とドライバーの彼と自分の3人でオフィスを抜けて暗い通路の先のドレッシングルームへ。
ウォーー!!! すげー!!(陳腐な表現の繰り返しでスマン)
特別無料スタジアムツアーに大興奮!!!!(((o(*゚▽゚*)o)))
ドレッシングルームではその時唯一知っていた、選手兼監督の元イングランド代表、デニス・ワイズのユニフォームも見れて超アゲアゲ(ティム・ケイヒルのことを知ったのはもっと後)になり、併設しているバスルームも写真を撮りまくる。
さらにまた暗い通路を通り、閉じられていたシャッターを開けた先には、
誰もいないスタジアム内へ!!!
グリーンのピッチ、青い椅子席で統一されたスタンド、ゴール裏スタンドには黄色の椅子で「THE DEN」の文字が見え、反対側のゴール裏1階席には「Millwall Against Racism」の巨大バナーがある。
うおおおおおおおすげええええええ!!!
鼻血ブーなくらいの大興奮、
比較するのも変だけど、オールドファームダービーを見た時に勝るとも劣らないぐらいの素晴らしい経験をさせてもらってる。
ピッチには入らないように何枚も写真を撮らせてもらい、素晴らしい景色(無人のスタジアムってそれだけで何とも言えない素晴らしい雰囲気を醸し出している)を満喫する。
「素晴らしいスタジアムだね!」と職員に伝えると、うんうんその通り、と同意してくれる。
ドライバーの彼も一枚自分の携帯で写メを撮っている。
たった数分だったが特別な体験をさせてもらい、ピッチを離れて再び暗い通路を引き返して事務所へ戻る。職員ともありがとう!とお礼を言ってお別れし、再びタクシーに乗車。
最寄りのTubeの駅まで送って行ってもらうことに。
車内では、本当にこんなホスピタリティを受けて言葉にならないくらい感謝している。
今回の旅の中でも最高の思い出ができたよ、と興奮気味にまくし立てていると、先ほどダッシュボードで何も見つからなかったからか、
何と、
フロントガラスに貼ってある、ミルウォールのクレストのステッカーを剥がして、もし、お前が車持ってるならこれを家帰ってから車に貼れよと、プレゼントしてくれた!!!!
マジで!? いいの??? と聞くと、ああ構わないよ、とあっさり。
チョーーーー嬉しい!!!
ありがとう!!!♪───O(≧∇≦)O────♪
(車その頃持ってなかったけど)
Tubeの駅には10歩んぐらいで到着。
駅に着いた後、本当に本当に本当にありがとう!(ちょっとウザい)、元気でね、そして日曜日のウェストハム戦に幸運を!というと、ありがとう、元気でな。と言ってガッチリ握手をして別れた。
時間は17時半、Jubilee Line に乗って一路ヒースロー空港へと向かう。
車内で先ほどの体験を思い返すと、武者震いがして、なぜだかしばらく涙が溢れてきて止まらなくなった。( T_T)
地球の反対側でこんなドラマチックな経験ができるとは、ついさっきのことなのに現実とは思えない浮遊感も感じながら先ほどもらったシールを見つめると、あああれは現実だったんだなと、涙まじりになりながら顔はニヤニヤしてるという、明らかにアヤシイ奴になっていた。。。
バーモンジーからウェストミンスターに行きサークルラインでサウスケンジントンへ、そこからピカデリーラインでヒースロー空港へと向かう。
つくづくと不思議なもので、今日1日だけでも、数々の時間の浪費や乗り間違い、迷子にならなければ、絶対にあんな経験はできなかった。
逆を返せば、全部あの経験を導くための伏線でしかなかった気がする。
しかもそれが、イングランドの他の大中小クラブのどれでもなく、UK最悪のイメージを持たれているミルウォールで体験したっていうのが、もうこれ以上ないぐらいのドラマになった。
11日間で9試合、当初の目的であるオールドファムダービー観戦や全試合チケット入手、鉄道をフル活用しての貧乏旅行の目的は達成され、最後のウォルバーハンプトンでは苦い思いもして、結構お腹いっぱいになってもうこれでいいか、と思ったところもあったのだが、
「これだからフットボールファンはたまらない!!!」(=セルティックファンでもある)
と心の底から実感した!旅となった。
ヒースロー空港到着後荷物を受け取り、チェックインへ。
チェックイン後空港内のパブで一人お疲れさん会を開催し、今回の旅の思い出とともにビールを飲む。
手荷物検査後、免税店をふらつき出発ゲートへ。
同じ便で一人旅の日本人旅行者を見つけちょっと話す。島根から友人の住むロンドンに初めて来たそうだ。英語もわからなかったし前情報がなかったので何処を廻ったかもわからなかったけどまた来たいと言っていた。
搭乗の頃はその人とも別々となりその後会うことはなかった。
飛行機は寝苦しかったが、それでも夜便に助けられ何度も目が覚めながらもウトウトを繰り返し、翌日午後4時にソウル、仁川空港へ到着。
その後2時間のトランジットで成田便へ搭乗、20時50分成田空港着。空港からは高速バスで新宿駅まで、22:50分新宿駅着。新宿では日本代表のレプリカを着ている若者が多い、今日は代表戦があったようだ。
その後電車で最寄り駅までたどり着き、日を跨ぐ前に帰宅し3度目の旅行を無事終えたのであった。
おしまい。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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