Hail Hail

 

すでにファンやサポーターの概念が、”お客さん”の範疇を超えているという事実

 

 

ちょっとトピックとしては難題なんですが、今やってることにもつながるので、挑戦してみたいと思います。

 

企業で製品のマーケティングの仕事をしていてもつくづく思ったのですが、ここ数年で、インターネットやSNSの発達、ビッグデータやCRMの活用などで、マーケティング手法?カテゴライズ?、というよりもお客さんの位置付けが二極化しているように思います。

最大手のGoogle、だけじゃないですけど、大手企業はビッグデータをもとに細分化し、行動、嗜好予測を立てて「オススメ」だとか、「急上昇」「人気の」という前置きを置きながら紹介して購買行動につなげていく(ここら辺はあんまり詳しくないので手短に)

一例を挙げるとYoutubeなんてまさにそうで、(googleが買収しています)もはや検索性を重視してないんですよ。動画にタグやキーワードをたくさん埋め込んで釣ろうとしても効果あんまりないです、それ以上にスパム判定される可能性があります。さらには視聴者の方も検索で動画を探してません。それよりも別のアルゴリズムで表示が変わるし、アクセスも全然変わってきます。

フットボールの世界でいえば超メガクラブであるレアルマドリッド、マンチェスターユナイテッド、バルセロナなどはこっちの世界に近いマーケティング手法をとってますます拡大していくんじゃないでしょうか。

ファン/サポーターの積極参加、メディア化がさらなる人気の起爆剤になる時代

 

というのと、一方ではSNSを使って地域でもグローバルでも独自の「コミュニティ」を作って、少し前にテレビであった「視聴者参加型」を実際にファン、サポーター参加型で行っていこうというクラブ、サポーターも出てきています。

今までは掲示板サイトなどでファン/サポーター同士での交流が盛んでした。クローズドで行われ別のファンは入ってこれないし、ライバルチームのファンはもってのほか。

これが、今はYoutubeのチャンネルに変わり、顔出しあり、積極参加型に変わってきています。フットボールの試合がなくても番組がファンの手で成り立ちそれを見た別のクラブのファンでも楽しめたりします。

代表的なのが、残念ながらセルティックではありませんが「Arsenal Fan TV」じゃないでしょうか。

何しろ勝っても負けても必ず試合後に観戦していたサポーターにインタビューするので、その表情、インタビュー内容を見るだけでアーセナルファンじゃなくても笑えます。現在20万人以上のチャンネル登録者数が人気を物語っています。

もうすでにクラブの報道はテレビや新聞などの旧知メディアだけじゃなく、ブログ、ツイッターのテキスト系はゆうに及ばず、動画にまで”とっくに”及んでいます。
これらの主役は選手や監督、クラブ関係者ではなくファン/サポーターです。海外にはこれらのチャンネルが山ほどあります。

何年も前から海外のサポーター、日本のサポーターもこれらの情報を積極的に掴んでいますので、これに乗らない手はないと思いますがどうでしょうか。

 

セルティックの場合、ファンがクラブの魅力になっている例

80,000人以上が集まったセビージャでのUEFA CUP Final

ちょっと違うところではセルティックも今年の夏にあることでファン/サポーターの手でさらなるファン拡大が行われました。

今年の8月に行われたUEFA チャンピオンズリーグの予備予選プレイオフでセルティックはイスラエルの、ハポエルビアシェバと対戦しました。

ホーム、セルティックパークで行われた初戦に、セルティックのウルトラス「グリーンブリゲード」が中心となって、イスラエルのパレスチナ侵攻に反対とパレスチナの人々へのソリダリティ(結束)の意味を表してパレスチナ国旗持参、誇示のアピールが行われたんです。

これに対しUEFAは、セルティックに対し、試合中での政治アピールを行ったとして罰金制裁の裁定を下したのですが、その裁定に返す刀で、グリーンブリゲードは、パレスチナの難民施設に対するチャリティ基金活動を始めたのです。目標額は確か当初セルティックに課せられるであろう罰金の3万ポンド。

その金額は開始わずか1週間で13万ポンド以上が集まったのです!
驚くべきことこの金額はセルティックファンだけで積み立てられたものではありませんでした。

セルティックファンのアピールに共感した、中東、アフリカの人々やパレスチナから避難して別の国に住むパレスチナ人、さらには別のクラブのファンなのにもかかわらず、賛同してくれた人々からの募金がこれだけの金額になったのです。

僕も個人的に募金をしましたが、募金を行っていたサイトのメッセージ欄には7割がたがセルティックファン以外の人々のコメントで埋め尽くされてびっくりしました。

セルティックファンの行動に感謝を表すパレスチナの人々

さらには副次的な形でですが、「今までxxのファンだったけどこれからはセルティックも応援するよ」とか、「宗旨替えしてこれからはセルティックファンだ」、といったコメントなども見受けられた点です。

クラブは罰金を払っただけなのに、ファンはSNSやネットメディアを使って話題となりさらなるシンパシーを呼びおこして人気を拡大させた典型的な例ではないでしょうか。

ちなみにその時のブログの投稿はこちら(募金額の結果については投稿してませんでした)

【必見動画】サンキューセルティック(CLで パレスチナ国旗誇示のその後)

政治的アピールがいいとか悪いとか利用しているとかいう話ではありません。
セルティックの場合は2003年のUEFA CUP決勝でのベストサポーターアワード受賞など、ファンのフレンドリーさは定評があります。彼らはクラブに言われるまでもなく自ら活動して相手チームであっても仲良くなり酒を酌み交わします。

彼らはSNSなくても同じことをしていたと思いますが、SNSのおかげで(利用して)さらに影響力を増した、と言ってもいいのではないでしょうか。
SNSなどで物理的、時間的距離が意識しなくて良くなってくる中で、フットボールの試合以外に関連性を持たせられるかがもっと重要になってきています。試合に客を呼ぶのはもちろんだし、その周辺でいかにお金を落とさせるかも重要だと思いますが、クラブ側がいつまでも「与える」「提供する」だけの立場だったら今後どんどん見向きされなくなるかもしれません。だってそこにファンの顔が見えてこないし、ファンは何も体験していないから。

ファンとしてどんな体験をするのか、またどれだけ参加できるのか一緒に共有できるのかがもっともっと重要になってきていると個人的には思いますが、気づいているクラブと気づかないクラブの二極化も今後開いて行こうようにも感じますがいかがでしょうか。

最後に、フットボールの話ではありませんが、最近話題になっているお笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんの活動はまさにSNSとクラウドファンディング、クラウドソーシングを使った体験型コミュニティの成功例ですよね。

キングコング西野 ブログ

もし、フットボールやスポーツ以外でこのような体験型コミュニティがどんどん増えてくると、人の流れはやはり体験型に流れていくのは自然の理かもしれません。